AMD Ryzen7000がついに発売されましたね。しかし来月末にはIntelも新作を投入するので流石に両方出てからどっち買おうか判断したいところ。
インテルは12世代Alderlakeで価格で考えてもかなりAMDに差をつけてしまいました。しかしAMDはIntelからシングル、マルチ性能でトップの座を奪還するために新シリーズを投入しました。
Ryzen7000シリーズはかなりの変更点があります。アーキテクチャも新しくなり、プロセスノードも進化しました。しかしコア数は同じままです。TDPもあげられているので、同じコア数でも限界まで性能チャレンジって感じでしょうか。
一方でインテル第13世代はコア数がEコアを追加して爆増。ノードはIntel7で進化なし。Eコアも同じGracemountを使うと変わっていないところもあります。第12世代 Alderlakeの完成版ってイメージです。初めてのハイブリッド構成を試したのがAlderで、ある程度限界もわかったのでさらに伸ばしたのがRaptorってイメージを持っています。地味にキャッシュ量も増えたりと、改良点も多いです。
Ryzen7000の方はすでに発売開始になりましたのでデータが出てくると思いますが、Intelの方はまだなので比較できるところは比較して、どっちを買うか決めたいところですね。
ラインナップと価格
Ryzen 9 7950X, $699
Ryzen 9 7900X, $549
Ryzen 7 7700X, $399
Ryzen 7 7600X, $299
インテルよりも1ヶ月先に投入したAMDは4つのラインナップ。
Ryzen7から上のモデルということで、コスパいい製品はでてません。そして「3D V-Cache」バージョンもでるという発表はありましたが、後日ということになります。
インテルは
Core i9-13900K, $589
Core i7-13700K, $409
Core i5-13600K, $319
インテルの方もコスト上昇を理由に値上げをしました。コア数が増えてますので、それにともなって値段もあがります。しかしハイエンドは上がらないみたいですね。
最上位のi9-13900Kは、Ryzen 9 7950Xよりも$100安い仕上がりになりました。
Core i7-13700KがRyzen7 7700Xと同じ価格ですが、これが一番期待できる。
Core i7-13700K はCore i9-12900Kと比べると進化したように見えますし、販売価格がかなり下がっています。AMDへの対抗としてこのような価格になったのだと思いますが、最も期待できるCPUですね。
アーキテクチャ
AMD
AMDも金はかかるがアップグレードしてくれている。L2キャッシュは倍増してZen3のときからコア単位で1MBに増量。(Zen3では512KB)。プロセスルールも「TSMC enhanced 5nm」と進化した。
全体的に大きく進化をしたため、IPCは13%向上。最大クロックもZen3の4.9GHzから5.7GHzへアップした。
TSMCの7nmから5nmに移行したのは非常に重要で、15%のクロックアップを消費電力をあげずに実現できる。結果的に30%も消費電力を抑えることができるようになる。Ryzen7000では特にこのクロック上昇をゲームなどのあまりコア数を多様しないアプリケーションで5.5GHzまで到達させ、アドバンテージとして活かそうとしています。
RDNA2 iGPUも内蔵されており、Ryzenのメインのラインナップで初めてグラボなし構成ができるようになりました。しかしそのGPU性能は決して高いものではなく、ゲームにはまたく向いていません。あくまでもオフィス用のPCなどでグラボなしで使えるくらいのものです。
DDR5 memory と PCIe 5.0にも新しく対応しましたが、DDR4のサポートは切ってしまいました。そのために割高なDDR5を買わないといけません。しかもAMDはマザーも新ソケットに移行しますので、CPUの価格以上にコストがかかります。
Intel
RaptorlakeがAlderlakeから進化したポイントは主に3つです。
1, 最大クロック 2,コア数 3,キャッシュ量の増加
これらをインテルはノードや全体的なアーキテクチャの進化をさせないままAldelakeから強化しました。
現在発表されたなかでの最上位の Core i9-13900Kは最大で5.8GHzまで到達することができ、これはCore i9-12900Kよりも600MHz高く、Ryzen 9 7950Xよりも400MHz高い。もちろん全体的なアーキ改革がな今までのクロック上昇では、消費電力の上昇も伴います。
Raptorlakeのコア数爆増はEコアによるものです。EコアはPコアに比べてパワーは劣るのですが、それを敷き詰めてあげることによってマルチススレッドもかなり強化することができます。いままではマルチスレッドを実行するときはシングルコアでのターボブーストに比べて、全体のクロックが大きく下がっていたので結局大きいコアだけではロスがありました。初めから小さいコアにして低いクロックでも数で勝負をすることで結果的にマルチスレッドでの性能が高くなりました。
L2、L3キャッシュもCore i9-12900Kから倍増しており、インテルもゲーム性能にかなりの自身があるそうです。キャッシュのアプローチはAMDとかなり違い、AMDはL3を増強しましたがインテルはそのL3と同じくらいのサイズをL2で持っています。
性能
インテルがまだ出ていないのでなんともですが、出ている情報から予想してみましょう。
AMD
まずはそれぞれの新作CPUの性能の主張から。お互いに Core i9-12900Kとの比較を発表していますので、 Core i9-12900Kを基準に考えてみましょう。
AMDのRyzen 9 7950Xはシングルで29%、マルチで44%もRyzen 9 5950Xから性能アップしています。数字上ではCore i9-12900Kより高いマルチコア性能が発揮できる(測定ソフトによるが、マルチコア性能ではRyzen 9 5950XとCore i9-12900Kは近いため)。それでもシングルでは10%だけ高いという試算です。Ryzen 9 5950X はCore i9-12900Kよりマルチスレッドテストで負ける場面もありますが(Cinebench R23など)、AMDお得意のBlenderとかではコスパいい製品になっています。
シングルでは結構近くてRyzen 9 7950Xの方がCore i9-12900Kより高いスコアは最大でも6%、しかしマルチスレッドでは30~40%ほどの差で圧倒できます。
ゲーム性能ではRyzen 9 7950XがRyzen 9 5950Xより13%、 Ryzen 7 5800X3DとCore i9-12900Kより8%ほど高いですが、ミッドレンジの Ryzen 5 7600XがすでにCore i9-12900Kより11%ほど高いというAMDの発表した数字より少ししたまわってますが、選出したタイトルによるとAMDは説明をするでしょう。
Intel
インテルは Core i9-13900Kが Core i9-12900Kよりもシングルで15%、マルチで41%の性能向上だとしています。
インテルは頻繁にマルチコア性能を使うクリエイティブアプリで性能比較をだしていましたが、その平均でCore i9-13900KはRyzen 9 5950Xより40%早いらしい。Ryzen 9 7950Xがマルチコアで44%上昇と言っていましたので、近い数字になるのでしょうか。
ゲーム性能は10~20%ほどCore i9-12900Kから高くなっているらしい。AMDとの比較では、Ryzen 9 5950Xよりも25%ほど速く、Ryzen 7 5800X3Dと同等に競えるらしい。キャッシュをかなり強化しているので十分にありえるが、やはり世界最速のゲーミングCPUなのかもしれない。
Raptorlakeで欠かせないのがEコアの増強。Eコアは小さいコアなのででかいPコアほどの性能はもちろん発揮できない。 "AnandTech"がEコアがどれほど性能に貢献しているのかを、Pコアのみの動作で比較していた結果、Core i9-12900Kでは5~25%ほどマルチ性能に貢献している結果になった。
それを抜きにしても増量したキャッシュと高められたクロックより、シングルでも性能が高くなっている。
AMDは「3D V-Cache」を採用したモデルという秘技がありますが、やはりハイブリッドコアのマルチコアが魅力的ではある。
まだ発表されてないけど、i5の下位ティアにもEコア追加でかなりコア数があがるなんて噂もありますから、ミッドレンジのCPUもかなりコア数増えましたね。もうコア数欲しい人でもi5で十分って感じです。
13世代のi7も12世代のi9にコア数で追いついてますから、もう一段階コア数が増えました。
マザー
AMD
Ryzen 7000は X670E, X670, B670E, B650 が対応マザー。
X670Eはオーバーククロッカー、X670はハイエンドユーザー、B650が入門タイプ。
A520 の次の世代のチップセットはまだ発表されてないですが、 A520 の時と同様に後出しされるかもしれません。
AM5がサポートするのは、
DDR5, PCIe 5.0, 最大で 14個の USB ポート (20Gbps), Wi-Fi 6E, Bluetooth 5.2
マザーから出力できる枚数も地味に増えていて、500シリーズの時の2枚から4枚になっています。OCも変わらず全チップセットでできますので、好きなマザーで一応OCはチャレンジできる。
マザーは変わりますがCPUクーラーはAM4のものがそのまま使えるらしい。
EXPOというメモリOC機能も追加。たぶん XMPみたいなものです。全てのメモリがEXPOに対応はしていないので注意しましょう。
Intel
一方でインテルは新チップセット Z790と、今の12世代のマザーも使えます。しかし新マザーではPCIe 4.0 レーンの追加と、 速いUSBポートのサポートだけが進化に見えます。
すでにインテルは DDR5 (DDR4もサポート), PCIe 5.0, Wi-Fi 6E, Bluetooth 5.2
のサポートをしていたので、今のAMD Ryzen7000とも遜色ないです。機能性で言えばインテルもAMDもそれほど違いがないと思います。
インテルは全てのマザボでPCIe 5.0 x16 slot を graphicsに対応。ローエンドでもLGA1700は PCIe 5.0 GPUに対応していますが、AMDはハイエンドでのみ対応です。PCIe 5.0 はM.2 SSD対応の方が気になると思いますが、こちらはAMDは全部対応。インテルの方は情報を待ちたいですね。
やっぱりインテルはメモリがDDR4対応なのがいい。AMDはDDR5しか対応していないのでまだっちょっと割高なメモリを買わなければいけない。マザーもメモリも買い替えになるので、当面はAMDの方がコスパはよくないかも。でもインテルも結局Alderlakeからの継承だから、12世代を持っている人にしか利点はない。もしかしたら型落ちAlderlakeの方がコスパいいかもしれませんしね。
まとめ
Raptorlakeでコア数がかなり増えましたが、マルチコアでもAMDは結構戦えるかもしれないし、逆にシングルではAMDのIPC向上にかかわらず、インテルがゲーム性能をアピールしていることから高いクロックにより勝利できるかも。でも重要なのでコア単位の性能と、もちろん価格からみた性能。インテルがでてからの比較を待ちたいところです。
しかしAMDも投入されたのはまだハイエンドクラスのみ。優位になっている世代でもいままで製造数に問題があってローエンドでインテルを倒しきれなかったり、今のところインテルのハイブリッドコア構成もうまくいているみたい。
AMDもちょうどAM5へ移行する世代ということでマザー流用の強みがなくなる。なので個人的には少しインテルの方が有利な気がします。
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